王朝の終焉
「戯乱時期終結」は台湾の大陸政策という面で歴史的な転回点でもありました。
しかし、そこに住む住民にとってはまさに「内政問題」として、ひとつの時代の大きな節目でもあったのです。
識乱時期終結で何が変わったのか、その変化を見ようと、何度か台湾を訪ねた日本人記者がいました。
街の声をマイクで拾ったのです。
「影響?何もないね。生活には何の変化もない。
強いていえば、精神的な足かせが取れて心理的には随分と楽になったことくらいかな」。
・・・これが平均的答えだったそうです。
動員戯乱時期という規定そのものが人々の生活の意識のなかでは、もはや有名無実化さえしていました。
そういえば、台湾の商店や飲食店で出される公式の領収書「統一発票」には、かつて「防諜はみんなの責任」とスパイ活動に注意を呼びかける標語が必ず印刷されていました。
しかしこの文字はいつしか姿を消し、いまでは「納税はみんなの責任」という標語に変わっています。
「いつから変わったの?」と地元の人に聞いても
「あれ、おかしいね。いつ変わったんだろう」
・・・と、こっちが驚くほどの無関心ぶりだったそうです。